4巻7号

2005年7月25日発行

オンラインISSN 1347-4448,印刷版ISSN 1348-5504
発行 特定非営利活動法人グローバルビジネスリサーチセンター(GBRC)

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< コンテンツ・ビジネスの未来 第三回 >(オープンアクセス)

コンテンツ産業論の現在

音楽産業と技術革新:大規模技術システムとしての進化 武石彰
日本の家庭用ゲームソフト会社のソフト開発プロセスと人材マネジメント 小橋麗香
マンガビジネスの成長要因 岡田美弥子

pp. 323-342

前回までの連載では、コンテンツ産業を実際にてがけている方から、ビジネスの現場における現状や問題点を取り上げてきた。第三回は、研究者の立場から、コンテンツ産業に対してどのような研究成果をあげられてきたか、また今後どのような研究アプローチをとるべきか、といった点について論じていく。経済学、経営学の研究者にとって、研究対象として一般的だった製造業とは異なるコンテンツ産業に取り組む場合、いきなりアプローチまで新しくすることは有益ではない。新しい対象に既存のアプローチや研究蓄積を利用しながら取り組み、その中から共通性や異質性を解明していくことが研究の発展につながる。コンテンツ産業に対する本格的な研究は、まだ非常に少ない。その中から、三つの研究報告を取り上げた。第一の武石論文では、音楽を対象にして、ラジオからネット配信に至る長い発展の歴史を、大規模システムのイノベーションというアプローチをベースにして解明している。第二の小橋論文は、ゲームソフトを対象にして、製品開発研究としてアプローチしている。最後の岡田論文は、マンガを対象にして、事業戦略論からアプローチしている。対象もアプローチも異なる3 論文だが、いずれもそれぞれの分野で先導的な研究であり、今後の研究方向に多大な示唆を与えてくれるものである。(要約:新宅純二郎)

武石彰, 小橋麗香, 岡田美弥子 (2005)「コンテンツ産業論の現在 」『赤門マネジメント・レビュー』4(7), 323-342. http://www.gbrc.jp/journal/amr/AMR4-7.html

PDFファイル AMR4-7-1.pdf (463KB)
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< 査読つき研究ノート 機能性化学品の製品開発 第一回 >(オープンアクセス)

液晶用光学補償フィルムの製品開発とビジネスモデル―富士写真フイルム「ワイドビュー・フィルム」

桑嶋健一

pp. 343-364

本稿では、機能性化学品における製品開発の成功事例のひとつとして、富士写真フイルムの液晶用光学補償フィルム「ワイドビュー・フィルム」を取り上げ、その製品開発マネジメントについて検討する。事例分析より、製品開発プロセスにおいては、「顧客の顧客」への直接アプローチによる的確なニーズ情報収集が重要だったこと、さらに、製品開発成功後に、「単一商品戦略」「製品開発情報提供の前倒し」といった “仕掛け” や “ビジネスモデル” を戦略的に構築・実施したことが、事業としての成功につながったことなどが明らかにされる。
キーワード:製品開発、機能性化学品、“顧客の顧客” 戦略

桑嶋健一 (2005)「液晶用光学補償フィルムの製品開発とビジネスモデル―富士写真フイルム「ワイドビュー・フィルム」」『赤門マネジメント・レビュー』4(7), 343-364. http://www.gbrc.jp/journal/amr/AMR4-7.html

PDFファイル AMR4-7-2.pdf (551KB)
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< 解説 >(オープンアクセス)

ネットワーク可視化の技法―NetDrawの使い方

竹嶋斎, 稲水伸行

pp. 365-386

連載「ネットワーク分析と可視化の技法」の第三部である「ネットワーク可視化の技法―NetDrawの使い方」では、UCINETに組み込まれているネットワーク描画ソフトウェア、NetDrawの解説を行う。 NetDrawは、Steve Borgatti氏によって作成された、ネットワークの描画に特化したフリーソフトである。第二部で紹介したPajekと異なり、NetDrawではネットワーク分析の指標を計算することはできない。しかし、ドット単位でのノードの位置調整やフルカラー1677万色に対応した色表示などが行え、Pajek よりも豊富な描画機能を有しているといえる。特に、図を平易なルールで書かれたプログラムファイルとして保存できる機能は秀逸である。「VNAファイル」と呼ばれているこのファイルはテキストエディターで開くことができる。そのため、WEBサイトに用いられているHTMLファイルのように、ビジュアル的な編集をテキストベースで行えるのである。本解説は3-1から3-10までの10項目で構成されている。前半の3-1から3-5では、NetDrawの基本的な操作法を簡潔に解説する。後半の3- 6から3-10では、VNAファイルと図の関連性を紹介しつつ、テキストベースで見やすく美しい図を作成する方法を説明していく。本解説では、ネットワーク分析の指標などにはふれず、ネットワークの描画だけに焦点を絞って解説しているが、本解説がネットワーク可視化の技法習得の入り口になれば幸いである。

竹嶋斎, 稲水伸行 (2005)「ネットワーク可視化の技法―NetDrawの使い方」『赤門マネジメント・レビュー』4(7), 365-386. http://www.gbrc.jp/journal/amr/AMR4-7.html

PDFファイル AMR4-7-3.pdf (892KB)
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< コンピュータ産業研究会 >

情報通信産業で進行中の世紀の構造変革―“地上最大の企業” AT&Tの崩壊を中心とした考察

神野新

pp. 387-398

現在、世界のIT情報通信産業においては、① アナログからデジタル/IP化への移行、② ブロードバンドとワイヤレスによる代替を受けた固定通信市場の急速な融解、③ 固定通信と移動通信の融合、及び、通信と放送の融合など、「100年に一度」級の大変革が生じているが、そのようなメガトレンドに対して、各事業者がどのような戦略を展開してきたのか、また、適応に失敗した事業者の事例として、AT&T買収による同社の消滅を取り上げ、世紀の大変革期の中で戦略転換を模索する事業者の実態を紹介する。
キーワード:情報通信産業、戦略転換、AT&T

神野新 (2005)「情報通信産業で進行中の世紀の構造変革― "地上最大の企業" AT&Tの崩壊を中心とした考察」『赤門マネジメント・レビュー』4(7), 387-398. http://www.gbrc.jp/journal/amr/AMR4-7.html

PDFファイル AMR4-7-4.pdf (388KB)
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