19巻6号

2020年12月25日発行

オンラインISSN 1347-4448,印刷版ISSN 1348-5504
発行 特定非営利活動法人グローバルビジネスリサーチセンター(GBRC)

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< 査読つき研究ノート >

「クリティカル・マネジメント研究」(“Critical Management Studies”) の系統的レビュー

柳淳也, 川村尚也, 山田仁一郎

pp. 165-192

1990年代以降、イギリスを中心にクリティカル・マネジメント研究 (Critical Management Studies:CMS) が興隆しているが、難解な理論的研究が多く対象も広範囲にわたり、日本の経営学分野では広く知られているとは言い難い。そのため本研究ではCMSとは何か、何が「クリティカル」なのか、どういった経緯で誕生したのか、さらに、どういった対象領域で研究が盛んであるかを明らかにするために系統的レビューを行った。その結果、1) 批判理論から発展したCMSは、現在では多様な理論的背景をもち、人種、環境、セクシュアリティ、ジェンダーといった様々な視座に依拠した研究がなされていること、および、2) CMSを特徴づけるものとして、非自然化・再帰性・(非) パフォーマンス志向が挙げられ、近年、パフォーマンス志向についての議論から発展した批判的行為遂行性に関する研究が多くみられること、などが明らかとなった。
キーワード:クリティカル・マネジメント・スタディーズ (CMS)、批判的経営研究、パフォーマティヴィティ、非自然化、再帰性

柳淳也, 川村尚也, 山田仁一郎 (2020)「「クリティカル・マネジメント研究」(“Critical Management Studies”) の系統的レビュー」『赤門マネジメント・レビュー』 19(6), 165-192. doi: 10.14955/amr.0200930a

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< 経営学輪講 >

正統性の追求が諸刃の剣になるとき―経営学輪講 Ashforth and Gibbs (1990)

會澤綾子

pp. 193-204

Ashforth and Gibbs (1990) は、組織が正統性を獲得しようと過度に主張することが、かえって構成員からの正統性を失ってしまうという悪循環を述べており、これを「諸刃の剣 (double-edge)」と定義した。そして、組織が正統性を求めるプロセスを「実質的管理法」「象徴的管理法」に分けたうえで、当該プロセスが実行される局面および当該プロセスを実行するアクターの態度から、諸刃の剣になりやすい条件を提示している。Ashforth and Gibbs (1990) によれば、正統性を「拡充」「防御」する局面では、象徴的管理法になりやすく、アクターが「不器用」「神経質」「大げさ」な過度な主張を行うことで、かえって正統性の低下を生みやすくなる。つまり、手法の選択だけが問題なのではなく、正統性が求められる局面や、アクターの態度によって構成員による正統性の認知は変わりうるということである。構成員による正統性の認知低下は、必ずしも正統性の欠如ではなく、悪循環の結果なのである。
キーワード:正統性、正統化、諸刃の剣、構成員

會澤綾子 (2020)「正統性の追求が諸刃の剣になるとき―経営学輪講 Ashforth and Gibbs (1990)」『赤門マネジメント・レビュー』 19(6), 193-204. doi: 10.14955/amr.0201009a

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