赤門マネジメント・レビュー
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経営学輪講
正統性の追求が諸刃の剣になるとき
経営学輪講 Ashforth and Gibbs (1990)
會澤 綾子
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2020 年 19 巻 6 号 p. 193-204

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抄録

Ashforth and Gibbs (1990) は、組織が正統性を獲得しようと過度に主張することが、かえって構成員からの正統性を失ってしまうという悪循環を述べており、これを「諸刃の剣 (double-edge)」と定義した。そして、組織が正統性を求めるプロセスを「実質的管理法」「象徴的管理法」に分けたうえで、当該プロセスが実行される局面および当該プロセスを実行するアクターの態度から、諸刃の剣になりやすい条件を提示している。Ashforth and Gibbs (1990) によれば、正統性を「拡充」「防御」する局面では、象徴的管理法になりやすく、アクターが「不器用」「神経質」「大げさ」な過度な主張を行うことで、かえって正統性の低下を生みやすくなる。つまり、手法の選択だけが問題なのではなく、正統性が求められる局面や、アクターの態度によって構成員による正統性の認知は変わりうるということである。構成員による正統性の認知低下は、必ずしも正統性の欠如ではなく、悪循環の結果なのである。

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