GBRCニュース   2019.12.09

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今週のABAS早期公開論文は次の論文です
  Min, S. (2019).  Strategic divergence of keiretsu: Toyota suppliers and Nissan suppliers.
 

Annals of Business Administrative Science (ABAS)は、独立行政法人科学技

 術振興機構(JST)の電子ジャーナル・サイトJ-STAGEの早期公開機能を導入して

 います。「ABASの日本語サイト」

http://www.gbrc.jp/journal/abasjp/

 には、日本語の要約も掲載され、早期公開版のダウンロードも可能です。

 早期公開は論文採択後できるだけ速やかに行われますので、早期公開版の公開は

 不定期になります。ということで、今週は次の論文が早期公開されました。

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 Min, S. (2019).

 Strategic divergence of keiretsu: Toyota suppliers and Nissan suppliers.

 Annals of Business Administrative Science.

https://doi.org/10.7880/abas.0191025a

 (Available online December 6, 2019)

 

 日本の自動車産業の部品メーカー系列の(a)企業実績と戦略的行動である(b)顧客

 範囲と(c)製品の多様性は自動車会社によって異なるのだろうか? 本稿では(1)

 ヨタ系列のサプライヤーと非トヨタ系列のサプライヤー、ならびに(2)日産系列

 のサプライヤーと非日産系列のサプライヤーに分けて、メンバー企業サプライヤ

 ーの比較分析を行った。その結果、(a)トヨタ系列のサプライヤーは非トヨタ系列

 のサプライヤーより企業実績が高かったが、日産系列のサプライヤーと非日産系

 列のサプライヤーに差はなかった。(b)顧客範囲は、トヨタ系列のサプライヤーと

 日産系列のサプライヤーの両方ともに、それぞれ非トヨタ系列のサプライヤーと

 非日産系列のサプライヤーより高かった。(c)製品の多様性は、トヨタ系列のサプ

 ライヤーが非トヨタ系列のサプライヤーより低いのに対し、日産系列のサプライ

 ヤーと非日産系列のサプライヤーは差がなかった。つまり、トヨタ系列のサプラ

 イヤーは、狭い製品多様性を保ちつつ顧客範囲を広げることで高い収益性を実現

 していたわけで、日産系列のサプライヤーとは戦略的行動が異なっていた。系列

 に関する既存研究では、系列による違いを重視してこなかったが、本稿の結果は、

 系列によって戦略的行動が異なる可能性を示唆している。

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 とりあえず論文の内容を日本語で紹介しますが、著者本人による公式の要約では

 ないので、ご注意ください。正確に内容をお知りになりたい方は、ぜひ英語の論

 文をダウンロードして、読まれることをお勧めします。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/abas/advpub/0/advpub_0161125a/_article

 J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)は、巻・号・ページ等の書誌情報

 が未確定の論文を公開できる機能です。早期公開版も本公開版も同じDOIが付与

 され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。

 

 早期公開された論文は2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を

 確定してからJ-STAGEで本公開するとともに、学術論文を中心とした学術情報を

 検索して利用できる世界的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)

 ProQuest (有料)にも逐次収録されて、全文ダウンロードが可能となります。

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