GBRCニュース   2016.05.02

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今週のABAS早期公開は次の論文2本です
Kuwashima, K. (2016).
 Drug discovery process.
Kikuchi, H., & Iwao, S. (2016).
 Pure dynamic capabilities to accomplish economies of growth.
 
Annals of Business Administrative Science (ABAS)は、独立行政法人科学技術
振興機構(JST)の電子ジャーナル・サイトJ-STAGEの早期公開機能を導入してい
ます。「ABASの日本語サイト」
http://www.gbrc.jp/journal/abasjp/
には、日本語の要約も掲載され、早期公開版のダウンロードも可能です。
早期公開は論文採択後できるだけ速やかに行われますので、早期公開版の公開は
不定期になります。ということで、今週は次の論文が早期公開されました。
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Kuwashima, K. (2016).
Drug discovery process: A case study on Takeda.
Annals of Business Administrative Science.
doi: 10.7880/abas.0160224a (Advance Publication).
Download (Available online May 11, 2016)
 
医薬品の研究開発では、理論的には1060乗もあると言われる多数の潜在的な代
替案(化合物)のなかから、どうやって新薬を発見するかが重要な課題である。
本稿では、武田薬品の「ロゼレム(Rozerem)」の事例分析を通して、新薬の発
見プロセスを探る。近年は、自動化技術を活用して大量の代替案(化合物)を創
出しテストする手法が主流であるが、本事例では、研究者の経験と知識に基づい
た論理的な化合物設計によって、少数の代替案の探索で「ロゼレム」が発見され
た。
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Kikuchi, H., & Iwao, S. (2016).
Pure dynamic capabilities to accomplish economies of growth.
Annals of Business Administrative Science.
doi: 10.7880/abas.0160213a (Advance Publication).
Download (Available online May 13, 2016)
 
ダイナミック・ケイパビリティ(Dynamic capabilities以下、DCと略記)は
Teece, Pisano and Shuen (1997) を起源として、広く議論されてきたが、DC
はどんな能力かについては、いまだイメージが定まらない。Teece et al.は、DC
を組織プロセスの中に埋め込まれている役割の1つとしたが、この組織プロセス
に統合/調整のような静的な概念も含まれていたことが混乱を呼んでいる。そこ
Helfat and Winter (2011) は、operational capabilitiesDCという2つの概
念を対峙させた上で、両者に共通する能力も存在することが混乱の原因だと考え
た。すなわち、pure operational capabilitiespure DC・共通能力の3種類が
存在すると考え、operational capabilitiesを除いたpure DCが観察される例と
して、小売業の店舗のexpansion等、企業が成長している例を挙げたのである。
このようにpure DCが企業成長に必要なpureな能力であるとすると、その主要部
分は、かつてPenrose (1959)が考えた「economies of sizeとは異なるeconomies
of growth」をもたらす能力と同じである可能性が高い。こうした成長時以外に
は未使用資源となる能力をTakahashi (2015)は、より具体的に「立ち上げ屋的な
能力」であると推測している。
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とりあえず論文の内容を日本語で紹介しますが、著者本人による公式の要約では
ないので、ご注意ください。正確に内容をお知りになりたい方は、ぜひ英語の論
文をダウンロードして、読まれることをお勧めします。なお、お気づきではない
かもしれませんが、英語版のサイトもあります。
http://www.gbrc.jp/journal/abas/index.html
J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)は、巻・号・ページ等の書誌情報
が未確定の論文を公開できる機能です。早期公開版も本公開版も同じDOIが付与
され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。
 
早期公開された論文は2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を
確定してからJ-STAGEで本公開するとともに、学術論文を中心とした学術情報を
検索して利用できる世界的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)
ProQuest (有料)にも逐次収録されて、全文ダウンロードが可能となります。

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