GBRCニュース   2016.03.14

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今週のABAS早期公開は次の2本です
 Wada, T. (2016).
 Reconsideration of characteristics of information-based resource.
 Ichikohji, T. & Katsumata, S. (2016).
 The relationship between content creation and monetization by consumers.
 
Annals of Business Administrative Science (ABAS)は、独立行政法人科学技術
振興機構(JST)の電子ジャーナル・サイトJ-STAGEの早期公開機能を導入してい
ます。「ABASの日本語サイト」
http://www.gbrc.jp/journal/abasjp/
には、日本語の要約も掲載され、早期公開版のダウンロードも可能です。
早期公開は論文採択後できるだけ速やかに行われますので、早期公開版の公開は
不定期になります。ということで、今週は次の2本が早期公開されました。
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Wada, T. (2016).
Reconsideration of characteristics of information-based resource.
Annals of Business Administrative Science, 15.
doi: 10.7880/abas.0160118a (Advance Publication).
http://doi.org/10.7880/abas.0160118a (Available online March 10, 2016)
 
日本の経営学研究において、資源の分類としてヒト、モノ、カネ、情報の4つを
用い、なかでも情報資源を重視する考え方が根付いている。情報資源が 企業固
有のものであり、競争優位と模倣困難性の源泉となるという考え方は、1980年代
に日本企業が高い国際競争力を発揮した理由を説明しているように見えた。とこ
ろが、現実には、1990年代以降、日本企業の国際競争力は低下する。実は、(a)
情報資源には、資源としての情報けでなく、それを活用する能力も含まれ、(b)
模倣困難性が低いものも混在し、(c) 情報資源がヒトやモノに粘着的であるかど
うかと、ヒトやモノが企業に粘着的で取引困難であるかは別の問題だったのであ
る。そうした事実は、日本企業が終身雇用制度により人材に体化された知識を企
業内部に蓄積していた1980年代までは露呈しなかったが、1990年代以降、その前
提条件が崩れたために、人材に体化された情報資源は流出し、日本企業の国際競
争力が低下することになったのである。
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Ichikohji, T. & Katsumata, S. (2016).
The relationship between content creation and monetization by consumers:
Amateur manga (doujinshi) and music in Japan.
Annals of Business Administrative Science.
doi: 10.7880/abas.0151214a (Advance Publication).
http://doi.org/10.7880/abas.0151214a (Available online March 11, 2016)
 
日本のコンテンツ産業の競争力の源泉の一つが、アマチュア消費者の創作活動で
ある。本研究は、まず、printed amateur manga (comic)である同人誌に関する
先行研究を、歴史・現状、日本以外の国の(海外)動向、ジェンダー、著作権と
いう観点から整理した。次に、本研究では、既存研究が焦点を当てていない観
点、すなわち、複数のコンテンツカテゴリーにおける創作活動と収益性との関係
性に関して、3つの仮説を含むリサーチモデルを構築した。そのうえで、本研究
は、仮説を検証するにあたって、マンガと音楽に対する創作活動・収益化活動に
関して、2593人の消費者を対象としたアンケート調査を行った。結果として、以
下の点が明らかになった。1.コンテンツカテゴリーにて創作活動を行う消費者
は、他のコンテンツカテゴリーにおいても創作活動を行う傾向がある。2.ある
コンテンツカテゴリーにて創作したコンテンツの収益化を行う消費者は、他のコ
ンテンツカテゴリーにおいても収益化を行う傾向がある。3.複数のコンテンツ
カテゴリーで創作活動を行う消費者は、創作活動の収益化を行う傾向がある。ま
た、マンガと音楽のcreationmonetizationがどの程度行われているのかについ
ても示した。
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とりあえず論文の内容を日本語で紹介しますが、著者本人による公式の要約では
ないので、ご注意ください。正確に内容をお知りになりたい方は、ぜひ英語の論
文をダウンロードして、読まれることをお勧めします。なお、お気づきではない
かもしれませんが、英語版のサイトもあります。
http://www.gbrc.jp/journal/abas/index.html
J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)は、巻・号・ページ等の書誌情報
が未確定の論文を公開できる機能です。早期公開版も本公開版も同じDOIが付与
され、同一の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。
 
早期公開された論文は2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を
確定してからJ-STAGEで本公開するとともに、学術論文を中心とした学術情報を
検索して利用できる世界的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)
ProQuest (有料)にも逐次収録されて、全文ダウンロードが可能となります。

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