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今週のABAS新刊 Takamatsu, T., & Tomita, J. (2015). Disruptive innovation: A case of full mold casting. 新生ABASは、隔週刊で論文をリリースしています。
「ABASの日本語サイト」からダウンロード可能です。
http://www.gbrc.jp/journal/abasjp/------------------------------------------------------------------------Takamatsu, T., & Tomita, J. (2015).Disruptive innovation: A case of full mold casting.Annals of Business Administrative Science, 14, 109-126.doi: 10.7880/abas.14.109 (forthcoming).Download (Available online February 1, 2015) Christensen and Raynor (2003)は破壊的イノベーションに関して、既存市場と
は別の市場で新規に獲得していくNonconsumersと、既存市場におけるOvershot
Customersの二種類の顧客を想定している。鋳造産業の大型鋳物市場において、
顧客は鋳肌品質を求める。既に十分な鋳肌品質を実現していた木型を用いた砂型鋳造法に対して、新しく誕生したフルモールド鋳造法(FMC)は低い品質しか実現
できなかった。しかしその市場の中でも、自動車金型鋳物は事情が特殊で、鋳肌は後から金型企業が調整を行うので、顧客は鋳肌の品質は落としても、納期が短くなることを歓迎した。木村鋳造所は、そうした短納期を望む一部の特殊顧客をまず獲得し、事業を継続する中で鋳肌品質・生産性を向上させていき、やがて自動車金型鋳物市場の過半を奪うことに成功した。こうして鋳肌品質を向上できたことで、より高い鋳肌品質が求められるミドルレンジの単品の工作機械用鋳物でも市場シェアを獲得し、さらに NC加工の完全機械化を実現することで、FMCが適
用困難といわれたハイエンドの量産の工作機械用鋳物でも市場シェアを獲得した。こうして、 NonconsumersでもOvershot Customersでもない顧客がそれぞれ
持っていた固有の要求を、ピンポイント的に突いて注文を獲得し、事業を継続する中で徐々にQCD全体を向上させることに成功したことで、FMCは、既存の木型を
用いた砂型鋳造法に対して、破壊的イノベーションとなったのである。破壊的イノベーションが起こるロジックは、クリステンセンらの分析よりもずっとシンプルで、最初は既存技術と比べたらQCD的にオモチャのような技術であっても、ご
く一部の特殊な固有要求をもった顧客だけでも獲得することができれば、事業を継続する中でQCD全体を向上させる機会を得ることができるという点にある
------------------------------------------------------------------------とりあえず論文の内容を日本語で紹介しますが、著者本人による公式の要約ではないので、ご注意ください。正確に内容をお知りになりたい方は、ぜひ英語の論文をダウンロードして、読まれることをお勧めします。なお、お気づきではないかもしれませんが、英語版のサイトもあります。http://www.gbrc.jp/journal/abas/index.html ABASに掲載された論文の最終バージョンは、DOIを付与して2ヶ月に1号のペース
でまとめて、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の電子ジャーナル・サイト
J-STAGEに登載され、Google Scholarにもデータが提供されます。
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/abas/ またABAS掲載論文は、学術雑誌論文を中心とした学術情報を検索して利用でき
る世界的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)、ProQuest (有料)にも
逐次収録されて、全文ダウンロード可能です。
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