GBRCニュース   2014.12.22

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今週のABAS新刊
 Fukuzawa, M. (2015). Dynamic capability as fashion.
 
新生ABASは、隔週刊で論文をリリースしています。
ABASの日本語サイト」からダウンロード可能です。
http://www.gbrc.jp/journal/abasjp/
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Fukuzawa, M. (2015). Dynamic capability as fashion.
Annals of Business Administrative Science, 14, 83-96.
doi: 10.7880/abas.14.83 (forthcoming).
Download (Available online December 21, 2014)
 
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、ダイナミック・ケイパビリティ
(dynamic capability, DC)に関する研究が登場した。ワーキング・ペーパー段階
から引用されて有名だったTeece, Pisano, and Shuen (1997) が出版され、続い
Eisenhardt and Martin (2000)、さらには「能力」というキーワードに関連し
て、Zollo and Winter (2002)のようなルーチンや組織学習の研究者も加わっ
た。これら影響力の大きな3つの研究では、DCを構成する概念として、(1)環境変
化の程度、(2)組織プロセス(ルーチン)(3)資源のもちよう、(4)経営者の役割
(たとえば、資源投資に関わる意思決定)(5)学習メカニズムを挙げていた。し
かしその後、Resource-based view (RBV)の研究者が大量に参入し、その際に、
「資源」のスタティックな状態記述とその変化の議論にすぎないにもかかわら
ず、とりあえず「変化」「競争優位」「能力」というキーワードが入ればDCの研
究と自称する傾向が顕著になった。研究開発、買収、提携の研究に安易にDC論と
いうラベルを付けたことで、(a)「何がダイナミックなのか」という概念上の曖
昧さや混乱を生み、(b)それが「ケイパビリティという安定的な特性」によって
説明されるのかについて多様な見解が生じたことにより、DC論の本質が見失われ
る結果となった。
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とりあえず論文の内容を日本語で紹介しますが、著者本人による公式の要約では
ないので、ご注意ください。正確に内容をお知りになりたい方は、ぜひ英語の論
文をダウンロードして、読まれることをお勧めします。なお、お気づきではない
かもしれませんが、英語版のサイトもあります。
http://www.gbrc.jp/journal/abas/index.html
 
ABASに掲載された論文の最終バージョンは、DOIを付与して2ヶ月に1号のペース
でまとめて、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の電子ジャーナル・サイト
J-STAGEに登載され、Google Scholarにもデータが提供されます。
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/abas/
 
またABAS掲載論文は、学術雑誌論文を中心とした学術情報を検索して利用でき
る世界的なオンライン・データベースEBSCO host (有料)ProQuest (有料)にも
逐次収録されて、全文ダウンロード可能です。

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