GBRCニュース   2023.12.18

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Annals of Business Administrative Science (ABAS)

  Volume 22, Issue 6 J-STAGEに本公開されました. 

 

Annals of Business Administrative Science, Volume 22, Issue 5

が、1215日にJ-STAGEで刊行されましたので、お知らせいたします。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/abas/

今回、Volume 22, Issue 6に掲載されたのは下記の3本の論文です。

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Ando, F. (2023).

An Encounter with the Nadler-Tushman congruence model and organizational

Ambidexterity.

Annals of Business Administrative Science, 22(6), 91-105.

https://doi.org/10.7880/abas.0231005a

(Available online November 7, 2023)

日本語版プレプリント(Jxiv)

https://doi.org/10.51094/jxiv.498

 

組織変革に関してよく知られた有用なモデルにナドラー=タッシュマンの整合性

モデルがある(Nadler & Tushman, 1989, 1997)。一方組織の両利きの議論が近年

盛んだが、実は両者が同じ研究者によってほぼ同時期に提唱されていたことはあ

まり知られていない。この2つの議論はその後、それぞれ独自の発展を遂げるが、

その成り立ちから明らかなように、もともと同じ研究関心から枝分かれしたもの

である。本稿では、Tushmanの研究のレビューを通じて、約30年の年月を経て改

めて邂逅した2つの議論に対して、包括的なアイデンティティによる多元的ロジ

ックの統合が必要というTushmanの示唆に基づき、具体的に新たな統合モデルの

考案・提示を試みた。このモデルは、現代の組織環境により適合したダイナミッ

クな組織変革のあり方を考える一助となるだろう。

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Kobayashi, M. (2023).

Interdependence in buyer-supplier relationships:

Definitions and measurement.

Annals of Business Administrative Science, 22(6), 107-120.

https://doi.org/10.7880/abas.0231109a

(Available online December, 8, 2023)

日本語版プレプリント(Jxiv)

https://doi.org/10.51094/jxiv.555

 

バイヤー・サプライヤー関係の研究では、相互依存は、よく使われるキーワード

の一つであるが、その定義や測定項目はバラバラだった。本稿は文献レビューの

結果、相互依存を巡る研究には2系統があり、各系統で使われる測定項目にはあ

る程度共通性があることも分かった。(1) Pfeffer & Salancik (1978)の資源依存

理論を源流とするパワー関連の系統では、取引相手の売上に占める割合や、取引

相手の代替可能性、スイッチング・コストが用いられ、(2) Thompson (1967)の技

術的相互依存性を源流とするタスク関連の系統では、取引されるインプットやア

ウトプットへの依存度が測定項目としてよく用いられる。ただし実際には、例え

ばトヨタ自動車のサプライヤー管理では、技術で決まる部分がある一方、資源依

存を避けて複数サプライヤーを利用するなど両方の論理を実践している。

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Huang, W. (2023).

Adjusting the ratio between idea-driven development and data-driven

development in product updates.

Annals of Business Administrative Science, 22(6), 121-132.

doi: 10.7880/abas.0231016a

https://doi.org/10.7880/abas.0231016a

(Available online December, 12, 2023)

 

データの利活用は、かつてないほど多面的かつ明確な顧客洞察を提供することで、

企業のイノベーション・プロセスに大きな影響を与えている。しかし、データ・

ドリブン開発は客観的なデータに依存し、常に合理性を追及した結果、逆にユー

ザー動向という束縛に直面している。本稿で取り上げるプロジェクトLは正式リ

リースの後に、データ・ドリブン開発を採用したが、ユーザー・データにリード

されてしまい、プロダクト・アップデートの内容が既存ユーザー向けの保守的な

コンテンツになってしまい、アクティブ・ユーザーの伸び率の鈍化という問題が

生じていた。幸いなことに、製品リリース後にも開発チームの人員削減を行って

いなかったため、プロジェクトLはユーザー動向に基づいてアイディア・ドリブ

ン開発とデータ・ドリブン開発の割合を調整するという開発方針に変更できた。

その結果、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの定着に成功した。

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ABASは、J-STAGEの「早期公開」(Advance Publication)機能を使っております。

各コンテンツには、早期公開の段階で、すでにDOIが付与されていて、CrossRef

でダウンロードできます。たとえばDOI10.7880/abas.0150805a の論文は、

https://doi.org/10.7880/abas.0150805a

と入力すると、論文がダウンロードできます。

 

上記の論文は、既に早期公開版を公開しておりますが、早期公開した論文はこう

して2ヶ月に1号のペースでまとめて、巻・号・ページ等を確定してからJ-STAGE

で本公開されます。早期公開版は、今回の本公開版と同じDOIが付与され、同一

の論文として扱われ、Google Scholarにもデータが提供されます。さらに、本公

開版は、学術論文を中心とした学術情報を検索して利用できる世界的なオンライ

ン・データベースEBSCOhost (有料)ProQuest (有料)DOAJ (無料)にも逐次収

録されて、全文ダウンロードが可能となります。

 

ABASは、「引用されるジャーナル」を目指して鋭意努めてまいりますので、今後

とも是非ご投稿先としてABASをお考えいただければ幸甚です。

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