赤門マネジメント・レビュー
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「7M+R&Dアプローチ」によるものづくり企業の組織能力測定と企業収益性の関係
佐々木 久臣糸久 正人
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2010 年 9 巻 8 号 p. 559-598

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抄録

本稿では、ものづくり企業の組織能力を測定する視点として「7M+R&Dアプローチ」を提示し、企業収益性の指標である総資産利益率(ROA)との関係を検討する。「7M+R&Dアプローチ」とは、ものづくりに関する重要な組織能力である、Man、Machine、Material、Method、Market、Money、Management、R&Dの8項目を用いてものづくり企業の組織能力の評価を行うものである。これら8項目の評価点を合算した指標を「ものづくり組織能力(MOC)」と定義する。 この「7M+R&Dアプローチ」を用いて、国内外の16企業のものづくり現場に対するインタビュー調査を実施してMOCを算出し、同時に各々の企業の当該年のROAも算出した。これらMOCとROAについてスピアマンの順位相関係数を求めたところ、ρ=0.76で正の関係にあることが分かった。 これは企業の「ものづくり組織能力(MOC)」の高低が、「総資産利益率(ROA)」の高低と相関があることを示している。したがって、企業のROAを向上させるためにはMOCを向上させればよいことになる。すなわち、MOCを構成する「7M+R&D」の各要素の一部または全てについて改善を行えば、それに見合ったROAの改善が見込めることになる。 この手法は、ものづくり企業の利益改善を図りたい企業経営者やコンサルタントに対し、「7M+R&D」のどの分野を改善すべきかの優先順位の指針を与えるものとして活用が期待される。

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