本稿は、中国の直接投資に関する経済政策の過去からの流れを整理し、とりわけ同国のWTO 加盟以降における市場開放期の経済政策の変化をまとめ、それらが日本企業の対中直接投資に与えた影響を分析する。中国はこれまでも経済発展の段階に応じて外国企業の直接投資に求める役割を変えてきたが、近年の市場開放・内需拡大期において中国が外国企業に求める役割期待は従来とは確実に異なるものとなっている。こうした中国の政策変化は、日本企業の今後の成長戦略を左右しつつあるが、本稿では、日系企業の海外事業活動に関する諸統計から、近年の同国における成長戦略を読み解き、市場開放・内需拡大期における在中日系企業の経営戦略の現状を分析する。さらに、それらをふまえ、新たな局面における日中企業のアライアンスのあり方についても考察する。