赤門マネジメント・レビュー
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論文
我が国エレクトロニクス産業にみるプラットフォームの形成メカニズム
小川 紘一
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2008 年 7 巻 6 号 p. 339-408

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抄録

商品がコモディティー化すればするほど市場支配力や収益力を生み出すプラットフォームの形成プロセスについて、市場の前線に立つ経営者の目線から体系化した。新たに定義するプラットフォームは、技術拡散スピードが極端に異なる『擦り合わせ型』と『モジュラー型』のアーキテクチャがともに共存するオープン環境で現れる。本稿では、コモディティー化が極限まで進んだDVDプレイヤーと記録型DVDメディアを我が国の事例として取り上げ、技術拡散スピードの違いを巧みに活用しながらプラットフォーム構築が進んでいることを、アメリカに見る事例と比較しながら明らかにした。いずれもNIES/BRICs諸国企業と協業するためのフル・ターンキー・ソリューション型プラットフォームであり、擦り合わせ統合型のプラットフォーム内部からオープン市場をコントロールすることによって利益の源泉と市場支配力が生まれている。我が国企業の統合型組織能力をグローバル市場で生かすための21世紀型ビジネス・モデル構築に、本稿の定義するプラットフォームの枠組みがきわめて有効である。

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© 2008 特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
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