2008 年 7 巻 11 号 p. 797-820
アサヒビールのスーパードライは1987年の発売以降、20年たった現在でも売れ続け、高シェアを維持している。その発展過程をよく見ると、発売当初の爆発的売上を記録した後、数年間の停滞期を経て再拡大するという二段ロケット的成長を遂げている。これはスーパードライが一過性のヒット商品に留まらず、過去20年という長期間にわたり競争力を維持・向上させてきたことの証左であり、注目に値する。では、アサヒビールはどのようにして競争力を持続させてきたのか。なぜスーパードライは二段階の成長を遂げることができたのか。筆者らは、この問題を解く鍵は、工程特性と組織能力の相性と競争力の重層的分析にあると考える。