2007 年 6 巻 4 号 p. 133-154
本稿では、日本が高い国際競争力を持つ機能性化学産業で活躍する企業として新日鐵化学を取り上げ、その事業展開プロセスを分析する。新日鐵化学は、石炭化学から始まり、石油化学、電子材料(機能性化学)と、時代と共に新たな事業を創出することで石炭化学企業から機能性化学企業へと事業構造を変化させてきた。一見、石炭・石油化学とは離れた “飛び地” に見える電子材料事業も、実は新日鐵化学が長年培ってきた芳香族化学をベースに創出された事業である。コア技術を基礎としたマネジメントやビジネスモデルの構築が、新規事業開発と事業構造転換の成功に繋ったことが明らかにされる。