もの造りを「顧客へ向かう設計情報の流れを統御すること」と捉える「開かれたもの造り」の観点から、原価管理、とりわけ原価計算の再解釈を試みる。まず、伝統的な全部原価計算の体系、およびそれに対する代替案として提案されたABC、スループット会計、原価企画などを簡単に説明した上で、より最近の取り組みとして、モデルライフ基準の原価計算やJコスト論を紹介する。そして、これらを総括する形で、生産を設計情報の転写とみなし、製品原価を情報媒体の占有料として捉える、「開かれたもの造り」起点の原価概念を素描する。設計情報が価値を発生させ、媒体が原価を発生させる、というのがその基本的な発想である。