2007 年 6 巻 10 号 p. 459-484
本稿は「ドメイン・フォーカス」という概念を提唱し、家電の分野のデバイス取引に焦点を当て、テレビ産業を分析する。日本メーカーはブラウン管テレビで世界的な競争力を持っていた。薄型テレビのキーデバイス開発でも先行した。しかしそうした過去の高い実績にもかかわらず、近年のテレビ産業の競争では日本が単純に独り勝ちしているわけではない。ドメイン・フォーカスという概念を用いると、技術的な変化や経済全体のグローバル化の影響も含め、一見複雑なテレビをめぐる競争を簡潔に整理することができる。