2006 年 5 巻 10 号 p. 629-650
本稿は「製品アーキテクチャ」の理論に基づいて日本企業と韓国企業の得意領域を分析し、アーキテクチャに基づいた日韓企業の相互補完型協業モデルを検討していく。我々はそのモデルをアーキテクチャの組み合わせビジネス・モデルと呼ぶ。効果的な協業の基本は、パートナーシップを結ぶ企業同士が自らの強みと弱み、相手の強みと弱みを理解することである。その理解によって自らの能力を高め合えるような助け合い構造を組み込んだ仕組み造りが可能になる。アーキテクチャの違いを強みとして結集できる相互補完構造を事業の中に作り込んでいく協業体制が、新たな分業・協業形態の方向性であろうと考え、本稿がケースで紹介するビジネス・モデルの検討は、今後のアジア域内製造業の協業発展の可能性を探っていく上で多くの示唆があると考えている。