赤門マネジメント・レビュー
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解説
ネットワーク分析用ソフトウェアUCINET®の使い方
安田 雪
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2005 年 4 巻 5 号 p. 227-260

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抄録

UCINET For Windows® (2002) は、ネットワーク分析を行うためのウィンドウズ用プログラムである。ネットワーク分析のためのソフトウェアは、STRUCTURE (Burt, 1990)、Negopy (Richards, 1995) など、世界で多数が開発されている。だが、UCINETは、使用が容易で機能的にも優れており、おそらくネットワーク分析用ソフトウェアとしては世界的に普及しているものだろう。UCINETは、ネットワーク分析の大家Steve Borgatti、Martin Everett、Linton Freemanの三氏によって開発されている。2005年4月の時点では、Analytic Technologies社のサイトにおいてVersion 6.85が公表されており、英語マニュアルなどが付随した試用版が無料でダウンロードできる。試用版とはいえ、ネットワークのノード数が最大で256まで分析できるので、初めての人でも十分楽しめる。UCINETは主な機能として、(1) ネットワークデータの作成および変換機能、(2) ネットワーク分析の様々な指標の算出機能、(3) ネットワーク仮説の検定機能、(4) 多次元尺度構成法、クラスター分析などを含む分析機能を持っている。また、大規模ネットワークの解析ソフトウェアPajek(「パエック」と読む)と、ネットワーク描画のソフトウェアであるNetDrawなどがUCINETの本体に組込まれており、クリックひとつで各ソフトを起動させることができる。UCINETで作成したデータは、それぞれのソフトで扱えるため、大変に便利である。本連載においては、第I部として「ネットワーク分析用ソフトウェア UCINET®の使い方」において、UCINETの起動・データ作成・分析・保存までの一連の使い方と、分析機能の一部について使い方と出力の解説を行う(執筆者:安田雪)。第II部の「ネットワーク可視化の技法―Pajekの使い方」は、UCINETに組み込まれている大規模ネットワークの解析ソフトウェア、Pajekの描画機能について解説を行う(執筆者:稲水伸行・竹嶋斎)。最後の第III部「ネットワーク可視化の技法―NetDrawの使い方」では、ネットワーク描画ソフトのためのNetDrawについての解説をする(執筆者:竹嶋斎・稲水伸行)。読者のかたがたには、ぜひ三部をあわせてご活用いただき、ネットワーク分析のおもしろさ、関係構造の可視化の説明力を楽しんでいただければ幸いである。なお、本連載で展開するソフトウェアの解説は、各ソフトウェアが持つ機能のごく一部にすぎない。ご好評を賜れれば、続編の執筆も検討したいと思っている。

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