赤門マネジメント・レビュー
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査読つき研究論文
脱パッケージ化したソフトウェアの開発
ソフトウェア開発におけるユーザの組織化
藤田 英樹生稲 史彦
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ジャーナル フリー

2005 年 4 巻 2 号 p. 51-70

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抄録

フリーウェア、シェアウェアの開発事例を分析する。これらオンラインソフトの開発では、開発者とユーザがより緊密に直接的な結びつきを持ち、あたかもユーザが開発活動の一端を担っているような現象が観察された。この現象をユーザの組織化と呼ぶことにするが、パッケージング販売を最初から放棄し、流通経路をおもにインターネットに求める「脱パッケージ化」というオンラインソフトにおける意思決定が、単なる流通経路の選択にとどまらず、ユーザの組織化と開発への貢献を引き出し、また、ソフトウェアの完成度がパッケージソフトほどは求められないため、開発・流通のコストが比較的小さくなることが、開発スタイルに劇的な変化をもたらすことを明らかにする。このため、オンラインソフトではバージョンアップのペースとして観察される「開発サイクル」の回転を速めることができ、ソフトウェアの品質やパフォーマンスが一般的なパッケージソフトと比べて格段に速く向上していくのである。

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© 2005 特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
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