本研究は、特定の大企業との取引関係に組み込まれたB to B の中小企業を研究対象に、海外生産展開が国内生産拡大につながる新たなメカニズムを解明することを目的とする。先行研究では自発型転換行動と誘発型転換行動という二つの転換行動 (天野, 2000) の観点から議論がなされていた。しかし、経営資源が豊富でなく、新たに顧客獲得を行うことが難しい企業の取りうる転換行動については議論されてこなかった。そこで、特定の大企業との固定的な取引関係に依存した中小企業のケーススタディを実施した。その結果、「顧客追従型転換行動」と呼べる、国内拠点の新たな転換メカニズムが明らかになった。