2012 年 11 巻 4 号 p. 237-254
本稿の目的は、オーバーラップ型製品開発プロセスにおけるフロントローディングの効果を分析することである。具体的には、相互依存関係にある製品設計(上流)と量産準備(下流)のプロセスにおいて、上流でロバストネスを確保するタグチメソッドを導入した場合、どのようなメカニズムでリードタイムが短縮するのか、ということを検証した。A社における事例分析および29の製品開発プロジェクトに対するアンケート調査の結果から、上流に多くの工数配分を行うフロントローディングを実施することで、上流と下流の間でとりあえずの情報のやり取りを介したオーバーラップが促進し、製品開発リードタイムが短縮する、という知見を得た。