2011 年 10 巻 5 号 p. 371-396
本稿は1980年代から主張されてきた日本企業の海外展開における本国中心主義が、2000年代において克服されているかどうかを明らかにした研究である。本稿では、海外子会社における海外派遣社員の人数を本国から海外への関与の代理変数とし、分析を行った。分析の結果、日本企業の海外展開における本国中心主義は決して弱まっていなかった。さらに、本国中心主義が弱まっていない一因が、海外子会社に製品開発・工程開発といったより複雑な機能が任される際に、本国からの技術的な関与が強くなっているためである可能性を提示した。