2010 年 9 巻 7 号 p. 497-532
進化理論のモデルでは、経済的淘汰の力がもたらす淘汰均衡は、正統派経済学の均衡と似た性質をもつが、利潤最大化ルール以外の企業も生き残るという違いがある。そして、市場条件の変化に対する企業と産業の反応も異なり、(A)経済の通常の効果、(B)探索の効果、(C)淘汰の効果、の三つの効果が生じる。正統派経済学では考慮されてこなかった(B)探索の効果と(C)淘汰の効果についてモデル化が行われ、正統派経済学の予測と整合的な標準的な結果がもたらされることが示される。