2010 年 9 巻 4 号 p. 265-276
日本のソフトウェア産業は厳しい状況に置かれており、渕一博の「ソフトウェア重工業論」からみれば、いまだ後進国のレベルにある。ソフトウェアを作り利用するだけで、システムやソフトウェアを作る「マザー・ソフトウェア」を作りだす段階に至っていない。この問題の他に、ソフトウェアに関する標準化戦略や教育についても考える必要がある。標準化に関しては、標準をとることが利益につながるように、標準を中心としたエコシステムの形成を考える必要がある。教育に関しては国の方針を明確にし、大学が企業に必要な人材を供給できるような教育システムを企業と連携して創る必要がある。これらの問題・課題に積極的に取り組むことで、未来の可能性が拓けると信じている。