本稿では、海外での新規事業とロジスティクスの組合せ事例を対象とし、新規事業とロジスティクス構築の進展するプロセスを解説する。まず、対象事例である化学系素材メーカー、A社の取り組みについて説明をする。次に、中国における輸出の奨励を目的とした、華南を中心に多くみられる、進料加工、来料加工といった二つの方式を前提にした委託加工貿易制度についてと、貿易貨物を中国国内に流通させるための保税区、物流園区といった貿易や商取引と物流の制度を解説する。最後にロジスティクスの視点から、調達、生産、そして配送 (デリバリー) のトータルリードタイムに対して、進出先国でのこれらの諸制度が、生産と流通プロセスで及ぼす影響が大きく、生産管理方法そのものを、市場のニーズに近づけるための努力が必要になることが見えてくることを考察する。