赤門マネジメント・レビュー
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コンピュータ産業研究会報告
21世紀の人工ゲノムとしての半導体デバイス
小川 紘一
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2008 年 7 巻 5 号 p. 275-290

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抄録

1990年代の後半からマイコン/System LSIが製品設計に深く介在し、我が国エレクトロニクス製品のアーキテクチャがモジュラー型に転換した。ここから設計と製造の相互依存性が排除されてグローバル市場の競争ルールが一変し、アーキテクチャのダイナミズムを人為的にコントロールするビジネス・モデルさえ生まれるようになった。製品アーキテクチャの転換が垂直統合型という伝統的な組織のあり方を変え、EMSに代表される組み立て産業をNIES/BRICS諸国に興隆させ、巨大な雇用を生み出しながら経済を活性化させる。21世紀の半導体デバイスを象徴するマイコン/System LSIは、単に製品機能・性能・品質・コストを左右するだけでなく、NIES/BRICS諸国と先進工業国との協業による持続的な経済成長を支え、さらにはグローバル社会の構造変化さえも誘発する人工ゲノムとなったのである。

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© 2008 特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
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