2008 年 7 巻 1 号 p. 17-54
本報告は、GSM方式の移動体通信の成立過程および普及過程の全体像を説明するために、Ⅱ部構成になっている。第Ⅰ部では、携帯電話のGSM方式の歴史とそのアーキテクチャの説明を試みる。衆知のことであるが、GSM方式の携帯電話は、もともとヨーロッパで使われていた方式であった。現在では世界中で採用されている方式である。GSMの始まりの頃の歴史を明らかにし、デジタル携帯電話の方式(第2世代移動通信)として、「どのようにしてGSM方式が世界標準となっていったか」を明らかにしていこうと思う。第Ⅱ部では、GSM方式が世界に広がったケースとして、中国のGSM方式携帯電話を取り上げる。GSM方式が採用された結果、中国国内の移動体通信市場で、海外企業も含めた激しい企業間競争が行われ、その結果GSM方式が広く中国国内に普及していった過程を明らかにする。