2007 年 6 巻 9 号 p. 433-450
ソフトウェアがハードウェアの“おまけ”的存在であった時代から価値獲得の手段として主役となった現在に至るまで、コンピューター・ソフトウェア産業は、政府、学会、ユーザー、テクノロジーベンダーが渾然一体となった業界イノベーション・システムを形成し共進化してきた。各時代において競争に打ち勝ってきた大手ベンダーは、それぞれ独自の手法を用いて自社製品をイノベーション・パイプラインに送り込み、通過させることに成功している。本報告では、先端IT企業のイノベーションマネジメント手法としてコミュニティ・イノベーションを取り上げて考察する。