2007 年 6 巻 10 号 p. 493-502
日本の強い国際競争力を持った製品のほとんどは組込みシステム機器であり、それらには組込みソフトウェアが登載されている。半導体技術の脅威的なる進展、ネットワーク性能の向上に伴い、これらの機器の複雑化・多機能化が急であるが、その実現を支えているのが組込みソフトウェアである。元来ソフトウェア開発は属人性の高いものであり、個人の経験やノウハウに品質と生産性が依存しがちである。また、見えないので管理が困難であるという特徴がある。システムのソフトウェアの規模が小さく、小人数開発が可能な時代には、個人に依存し、結果管理の開発でも大きな問題が生じなかったが、従来通りの開発方法では、急激なソフトウェアサイズの肥大化・複雑化には対応し切れなくなっているのが現状である。本稿では、このような組込みソフトウェア開発の課題とそれへの対応策について考察する。