2005 年 4 巻 6 号 p. 303-312
本稿では、設計概念とリカード的な比較優位論との融合を試みる。製品費用は、生産費用と設計費用との合計であり、生産費用については、従来どおりの議論でも良いが、設計費用については、設計パラメータ調整費用の差を見る必要がある。設計費用は、科学的調整の費用と試行錯誤的な調整の費用との合計とみなせる。日本企業の設計パラメータを調整するスピードが速いとすると、モジュール数が多く、既知の科学的知識の少ない(現場試行錯誤への依存度の高い)「擦り合わせ型」製品で、設計費用に関する日本企業の比較優位が生じる、という予想を得る。