赤門マネジメント・レビュー
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コンピュータ産業研究会報告
産業クラスターにおける企業間のインターフェース構造と調整パターン、および集積メカニズムとの関係性
台湾・新竹科学園区の事例研究
陳 東瀛
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2003 年 2 巻 10 号 p. 539-562

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抄録

新竹科学園区は、アジア初のシリコンバレー型産業集積である。しかしながら新竹を産業集積・クラスターに関する議論に立脚して研究した成果というのはそれほど多くない。そこで、集積の成立とその要因、分業・集積の維持・拡大の原理という二つの問題意識から研究を行った。その結果、新竹の発展プロセスにおいては集積そのものは意図的なものであった、戦略の応用力・創造性が発揮された、政策メリットを最大限に活用しつつ企業間調整費用の最小化が図られたという三つの特色が明らかとなった。加えて、その意図せざる結果としてモジュラー化分業体制が構築されている。そしてその分業体制は進化し続けており、新竹内の企業間インターフェース構造はそれによって製品、工程の双方でモジュラー・インテグラルの両アーキテクチャーに対応することを可能にしている。この結果として新竹は技術環境の変化や集積・分業不要説の中で常に分業・集積を維持・拡大しつづけているのである。

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© 2003 特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
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