2017 年 16 巻 5 号 p. 233-238
本稿では、組織アイデンティティ研究分野において著名なHatch and Scultz (2002) の内容をレビューし、同論文の正確な理解を試みる。同論文では、組織アイデンティティと組織イメージ、組織文化との間で生じる動学的なプロセスをモデル化しており、こうしたプロセスが遮断された際、組織が陥る二つの機能不全について述べている。こうした機能不全は同論文内では並立して描かれているが、同時に起こり得るものではなく、図の解釈において注意が必要であるというのが本稿の主張である。