2011 年 10 巻 5 号 p. 341-370
前回 (1) (高橋, 2011) では、ウェーバーの「鉄の檻」が実はパーソンズの誤英訳で、本当は「殻」の意味だったことを知って想像力をかきたてられた。産業の黎明期には、幼弱な企業を保護する「殻」が存在していたはずである。それを経営学では「殻」とは呼ばずに別の様々な名称を与えてきた。今回の (2) では、T型フォードを取り上げ、この「殻」に護符のごとくしがみつくことで、フォード社が驚異的な急成長を遂げるまでを描く。それが「殻」として企業の動きを拘束する場面については (3) に続く。